就業規則の一部の規定を改訂することとなりました。そこで、労働組合に意見を求めたのですが、同意を得られないばかりか、反対意見すら出してくれません。このような場合、どのように対処すべきでしょうか。
更新日:2020.04.27
ご質問:
当社では、先日、就業規則の一部の規定を改訂することとなりました。改訂の内容は、労働者の労働条件を悪くするものではなく、専ら形式的な修正であったり、労働条件が少し良くなるような内容です。そこで、労働組合に意見を求めたのですが、同意を得られないばかりか、反対意見すら出してくれません。近年、労働組合とは関係が悪く、単に感情的な理由で意見を出してくれないようです。このような場合、どのように対処すべきでしょうか。
回答:
使用者は、就業規則の作成・変更をする場合、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないこととなっています(労働基準法第90条1項)。就業規則の変更が労働者にとって不利益になる場合に限りません。
そのため、就業規則の改訂を労働基準監督署に届け出るにあたっても、かかる手続きを経たことを示すために、労働組合等の意見書を添付しなければなりません(労働基準法第90条2項)。意見書は、就業規則の作成・変更に同意する内容のものであっても、反対する内容のものであっても構いません(但し、就業規則を労働者にとって不利益に変更する場合には、不利益を受ける各労働者との合意が必要となります(労働契約法第9条))。
ご質問のケースでは、経営陣と労働組合の感情的対立から、同意・反対のいずれの意見書も出してもらえないということです。経営陣と労働組合の対立は職場の雰囲気を悪化させ、経営的にマイナスでしかないので、まずは対話を進めて、手続きに協力をすることを求めるべきです。しかし、そのような努力をしても、労働組合が協力してもらえないこともあります。この点、行政通達によれば、『意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理する』とされています(昭23年5月11日基発735号、昭23年10月30日基発1575号)。そこで、どうしても意見書を出してもらえない場合には、意見を聴取したものの意見書の提出に協力してもらえなかったことを報告・証明する「意見書不添付理由書」を労働基準監督署に提出することで就業規則の変更手続きを進めることができます。
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