勤務態度が良くない従業員の年次有給休暇の取得を取り下げさせた場合、会社が法的責任を負うことはあるのでしょうか。
更新日:2020.10.30
ご質問:
当社の従業員が年次有給休暇の申請をしました。その従業員は勤務態度が良くないので、年次有給休暇の取得を阻止したいと考えているのですが、強引に年次有給休暇の取得を取り下げさせた場合、会社が法的責任を負うことはあるのでしょうか。
回答:
年次有給休暇の取得は労働者に認められた法的権利であるため、年次有給休暇の取得を不当に妨害することにより、損害賠償責任を負う可能性があります。
従前の裁判例においても、大阪高等裁判所平成24年4月6日判決(日能研関西ほか事件)では、労働者が有給休暇の取得を申請したことに対し、当該労働者の上司に当たる人間が「今月末にはリフレッシュ休暇をとる上に、○月△日まで有給をとるのでは、非常に心象(原文ママ)が悪いと思いますが。どうしてもとらないといけない理由があるのでしょうか。」「こんなに休んで仕事がまわるなら、会社にとって必要ない人間じゃないのかと、必ず上はそう言うよ。その時、僕は否定しないよ。」などと言い、労働者が有給休暇の申請を取下げるに至ったという事案について、使用者の責任を認め、使用者の労働者に対する損害賠償責任を認定しました。
ご質問頂いたケースについても、会社が強引に従業員の年次有給休暇の取得を取り下げさせた場合には、会社が損害賠償責任を負う可能性があります。
年次有給休暇に関する労務等、いつでもお気軽にご相談ください。
1989年生 / 札幌弁護士会所属(69期)
2016年12月 アンビシャス総合法律事務所 入所
重点取扱分野:M&A / 事業再編 / 労働問題
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