裁判所から「訴状」が届きました。退職した従業員が当社を訴えたとのことです。どのように対応すればよいでしょうか。
更新日:2021.07.01
ご質問:
先日、裁判所から書類が届きました。中に「訴状」などの書類が入っており、どうも昨年退職した当社の元従業員が当社を訴えたということのようです。「訴状」には、当社で仕事をしているときに、精神的に追い詰められたとか書いてあり、4000万円の損害を賠償しろなどと書いてありました。
当社には全く心当たりはなく、辞めるときも円満に辞めましたし、それほど長く勤めていませんが心ばかりの餞別も渡しました。
まったく事実無根の請求なので無視しようと思いますが、これまでにこのようなトラブルはないので勝手がわかりません。念のためアドバイスをお聞かせください。
回答:
裁判所から届いた「訴状」等の書類を無視してはいけません。無視すると貴社が敗訴したという内容の判決が出されてしまいます。
「訴状」が届いたということは、元従業員が訴訟を起こしたということです。
訴訟は、原告(今回の件では元従業員)が、請求(今回の件では損害賠償)の根拠となる主張を行い、被告(今回の件では貴社)が、それに反論等をして手続きが進んでいきます。
双方の主張に食い違いがあれば、その点について証拠を出して、どちらの主張が正しいかを裁判所が検討することになります。
訴訟は、紛争について裁判所という機関で決着をつけるために国が整備している制度ですので、原告の訴えに対して、被告が「関係ない」とか「事実無根」と思って応答しないときにも決着をつけることになります。
原告の「訴状」での主張を無視した場合、裁判所は被告が原告の主張を認めているものとして、原告勝訴の判決を出して決着をつけてしまいます。
したがって、訴状に対する被告からの反論である「答弁書」という書面を提出し、訴訟手続きに行く必要があります。
労働問題に限らず、裁判所から何らかの書面が届いたら、速やかに弁護士などの専門家に相談をして、きちんとした対応してください。
1970年生 / 札幌弁護士会(55期)
2007年4月 アンビシャス総合法律事務所 設立
2008年6月 日本弁護士連合会外国弁護士及び国際法律業務委員会委員(~2014年5月)
2009年5月 北海道情報公開・個人情報審査会委員
2011年1月 (財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター専門家相談員就任
2011年8月 北海道税務・事業再生実務者ネットワーク世話人就任
2012年6月 札幌市公文書管理審議会委員(~2016年5月)
2014年4月 北海道知的財産戦略本部幹事
2014年4月 日本知的財産仲裁センター北海道支所長
2014年5月 日本弁護士連合会知的財産センター委員
2016年3月 北海道曹達株式会社社外取締役就任
2016年4月 札幌弁護士会知的財産権委員会委員長
重点取扱分野:知的財産(特許法・著作権法・不競法)・IT、M&A・事業承継、労働問題、事業再生・倒産、リスクマネジメント
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