労働者との雇用契約書では労働時間は8:30-17:30になっていますが、就業規則では8:30-17:00になっていました。実際には雇用契約書のとおり17:30を終業時刻としてきました。この場合、雇用契約書の内容が優先して労働条件になるということで問題ないでしょうか。
更新日:2020.05.15
ご質問:
当社では設立当時から就業規則を作成して、事務室の棚に従業員がいつでも読むことができるようにファイルして置いてあります。
最近わかったのですが、労働者との雇用契約書では労働時間は8:30-17:30になっていますが、就業規則では8:30-17:00になっていました。実際には雇用契約書のとおり17:30を終業時刻としてきました。この場合、雇用契約書の内容が優先して労働条件になるということで問題ないでしょうか。
回答:
労働者にとって有利な就業規則の内容が優先します。
就業規則と雇用契約書との関係について、労働契約法は次のとおり定めています。
まず、①一定の場合には就業規則が労働契約の内容を補充することを定めた上で「労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。」(労働契約法7条ただし書き)と定め、雇用契約(合意)が就業規則に優先することを定めています。
他方で、②「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」(労働契約法12条)とも定めており、雇用契約(合意)で定められた労働条件が就業規則よりも労働者にとって不利な場合には、就業規則で定められた労働条件が優先することを定めています。
ご質問のケースでは、雇用契約書では労働時間は8:30-17:30とされている一方で、就業規則では8:30-17:00とされていますので、労働者にとっては就業規則で定めた方が有利であると考えられます。そのため、労働契約法12条により、雇用契約書のうち労働時間について定めた部分は無効となり、その代わりに就業規則で定められた労働時間が労働条件となります。
なお、就業規則で定められた労働条件が適用されるためには、労働者が就業規則を知ろうと思えば知ることができた状態に置かれていたことが求められます。
ご質問のケースでは、就業規則が事務室の棚に従業員がいつでも読むことができるようにファイルして置いてあったとのことですので問題はないでしょう。
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