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個別合意による労働条件の変更

営業成績が悪い従業員が自ら望んでいる場合、賃金を下げても問題ないでしょうか?

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更新日:2021.05.28

ご質問

営業を担当している従業員から、「最近、自分は営業成績が悪く、会社に貢献できていないので、賃金を下げられても文句は言えないと思っている」と伝えられました。たしかに、その従業員の最近の営業成績は芳しくないですし、従業員が自ら望んでいることですので、賃金を下げようと思うのですが、問題はないでしょうか。



回答:

 安易に賃金を減額すると、後に減額分の賃金の請求を受け、会社が減額分の賃金を支払わなければならなくなる可能性があります。

 

 労働契約法第8条は、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と定めていますが、従業員との合意に基づいて賃金を減額するためには、従業員が本当に賃金の減額に応じる意思を有しているのかを慎重に検討することが必要になります。

 まず、ご質問頂いた事例では、従業員は「賃金を下げられても文句は言えないと思っている」と発言しているだけですので、本当に賃金の減額に応じる意思があるのかが明確ではありません。そのため、賃金の減額を検討するにあたっては、従業員に改めて聞き取りを行い、本当に賃金の減額に応じる意思があるのかを確認すべきです。

 また、聞き取りの結果、従業員が「本当に賃金の減額に応じる意思があります」と発言したとしても、従業員がそのような考えを持つに至った背景事情についても確認すべきです。たとえば、従業員の「賃金を下げられても文句は言えないと思っている」という発言が、あなたが従業員の営業成績について話しているときに出たものであれば、それは従業員の賃金減額の意思が真意によるものではなく、営業成績が悪いことへの反省の意味で言ったにすぎないと考えられます。

 さらに、従業員が本当に賃金の減額に応じる意思を持っていると確認がとれ、実際に賃金を減額することになった場合には、従業員との間で合意書を作成し、賃金の減額が従業員と会社の合意に基づくものであることをきちんと形に残しておく必要があります。


 このように、従業員との合意に基づいて賃金を減額する場合には、従業員が本当に賃金の減額に応じる意思があるのかを慎重に確認した上で、合意書を作成しておく必要があります。このような手続を経ずに賃金の減額を行ってしまうと、後に、従業員から「本当は賃金の減額に応じる意思はなかった」として、減額分の賃金の支払いを求められ、会社が減額分の賃金を支払わなければならなくなる可能性があります。


個別合意による労働条件の変更に関する労務等、いつでもお気軽にご相談ください。

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