営業秘密をやり取りをすることもあるチャットツール使用について、従業員に対して何か注意すべきことはありますか。
更新日:2020.05.15
ご質問:
従業員との間での業務上のやりとりの際にチャットツールを使用する機会が増えました。チャットツールでのやり取りでは、会社の営業秘密であるデータのやり取りをすることもありますが、このようなやり取りについて、従業員に対して何か注意すべきことはありますか。
回答:
チャットツール上で秘密情報を取扱う場合には、データのファイル名やデータ上に「秘密情報」「㊙」「Confidential」等の秘密情報であることが認識できる表示を付すという取扱いをするとともに、従業員に秘密情報の取扱いに関する教育を行う必要があります。
秘密情報を漏えいされたり目的外で使用されたりしないように日ごろから秘密情報の取り扱いに関する教育を行うとともに、万が一秘密情報が漏えいされたり目的外で使用された場合に備えて不正競争防止法上の法的保護(不正競争防止法第2条第6項、同第3条、同第4条、同第21条第1項各号等)を受けられるように秘密管理措置を採ることが重要です(※1)。
なお、個人情報が漏えいした場合には、民事上の損害賠償責任(民法第709条)を負うにとどまらず(※2、※3、※4、※5)、刑事上の責任を負う可能性もあります(個人情報の保護に関する法律第83条、同第84条等)。また、取引先等に関する情報が漏えいした場合には、やはり民事上の損害賠償責任(民法第415条第1項)を負うことになります。
※2 大阪高裁平成13年12月25日判決ジュリスト1224号8頁
※3 大阪高裁平成19年6月21日判決ジュリスト1518号77頁
※4 東京高裁平成19年8月28日判決判タ1264号299頁
※5 東京高裁令和2年3月25日判決判例集未搭載(上告受理申立てにつき未確定)
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