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労働時間

始業前の準備時間も労働時間として認定されてしまうのでしょうか。

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更新日:2019.10.25

ご質問

当社の始業時間は、朝9時と定めています。各従業員には、朝9時には全ての用意が整って、フル稼働して貰えるようにしておいて欲しいので、これまで「始業時間が9時だったとしても、社会人としては、8時30分には来て掃除したり、準備したりするのは当たり前の心掛けだ」と指導してきました。最近、働き方改革とかで、色々と世知辛い世の中になっているように感じていますが、ひょっとすると、この始業前の準備時間も労働時間として認定されてしまうのでしょうか。

回答:

会社からの指示、命令に基づいており、従業員が自由に使える時間という実質がなければ、始業前の準備時間も労働時間と認定されますので、注意が必要です。

1.労働時間を確認する必要性

 就業規則や雇用契約書や労働条件通知書には始業時間が記載されていますが、始業時間ピッタリに出社する人は稀だと思います。多くの職場では「始業前に掃除したり、その日の業務の準備をしたりするのに、余裕をもって出勤するのは当たり前」といった風潮があって、実際には始業時間前から多くの従業員が出勤してその日の準備をしている職場も多いのではないでしょうか。


 最近相談を受けた事例では、働き方改革の影響からか、残業を承認制にしたりして長時間の残業を認めない運用を開始したところ、今度は早出出勤が増えてしまってトータルの労働時間は逆に増えてしまっている・・・という例もありました。


 この点について、労働基準法は、労働者に休憩時間を除き一週間について40時間、一日について8時間を超えて労働させてはならないと定め(同法32条)、これに違反した使用者に対して罰則の適用を予定しており(同法119条1項)、この上限を超えて労働させた場合、割増賃金の支払いが必要とされることになっています(同法37条1項)。そのため、これらの規定の適用範囲を理解するためにも、そもそも「労働時間とは何か」を理解しておくことが大切になります。

チェックポイント

    ①実質面で判断されます

     まず、労働基準法上の労働時間は、就業規則や雇用契約書等でどのように規定されているかに関わらず、実際の労働状況がどうだったのかという観点から実質的に判断されることになります。例えば、当事者が雇用契約書で「始業時間は9時00分からだけど、出社時間は8時30分とする。8時30分から9時00分までの準備時間は労働時間に定めない」という合意をしていたとしても、裁判所等の第三者が8時30分から9時00分までの準備時間の意味合いを客観的な立場で判断したときに、労働時間であると評価されてしまうと、その時間帯は労働時間として認定されてしまうことになるので、注意が必要です。形式面よりも、実質面が重視されるのです。

    ②会社の指揮命令下にあるか否かで判断されます

     次に、どのような実質があれば、労働時間として評価されるかということですが、この点については「ある行為に要した時間が労働基準法上の労働時間か否かは、その行為が使用者の指揮命令下に置かれたと評価できるか否か」という基準によって判断されることになります。  例えば、会社からは全く指示をしていないのに、「自分は朝型なので早く会社に行って、新聞をみたりして情報収集をしたい」とか、「資格をとりたいので、早めに会社に行って、静かな環境の中で勉強したい」等の理由で自発的に会社に出社するような従業員の場合には、会社の指揮命令下に置かれているとは判断されませんので、始業時間前に出勤していたとしても、その時間帯が労働時間とカウントされることはありません。  他方で、会社から「始業時間10分前から朝礼を行うから、その時間には全員集まっているように」という指示を出していたり、始業時間の開始前に会社で制服に着替えることが義務付けられていたり、「始業時間30分前に出勤した上で、その日の訪問予定先をリストアップするように」と義務付けられているような場合には、会社の指揮命令下に置かれていると判断されますので、始業時間前に出勤していた時間帯が労働時間とカウントされることになります。

    ③「自由に利用できる時間か否か」と考えると良いと思います

     最後に、会社の指揮命令下に置かれたと評価できるか否かは、若干、わかりづらい言葉だと思います。法律用語には、わかりづらい言葉が多いのですが、要は「従業員が自由に利用できた時間か否か」ということですので、日常の場面で判断する場合には、従業員が自由に利用できる時間か否かという基準で判断して頂くとわかりやすいのではないかと思います。

最後に

 働き方改革という言葉のもと、長時間労働を是正するという取り組みを始めている会社が増えてきているように感じています。ただ、その前提として、労働時間の正しいカウントの仕方を確認しておかないと、かえって悪い方向に改革を進めてしまうことにもなりかねません。労働時間に該当するか否か、日ごろの業務の中でよく質問を受ける相談項目と考え方を表に纏めましたので、この機会に併せて確認しておいて頂ければと思います。

労働時間に関する労務等、いつでもお気軽にご相談ください。