当社の就業規則には、社員が採用時に経歴を偽った場合には懲戒解雇が可能であると規定されているのですが、学歴を偽った社員を懲戒解雇することが可能でしょうか。
更新日:2020.05.13
ご質問:
当社が今年採用した社員が学歴を詐称していたことが発覚しました。当社は、採用にあたって大学卒業を条件としており、当該社員は、履歴書には大学卒業と記載していたのですが、実際には高校中退だったようです。当社は、大学卒業という学歴を重視しているため、この社員が高校中退であることを知っていれば採用はしておりませんでした。当社の就業規則には、社員が採用時に経歴を偽った場合には懲戒解雇が可能であると規定されているのですが、学歴を偽った社員を懲戒解雇することが可能でしょうか。
回答:
労働者が採用時の履歴書や面接等において、経歴を詐称したり、真実を秘匿することを、経歴詐称といいます。そして、経歴詐称が重要な経歴に関するものであった場合、使用者は、当該労働者を解雇することが可能です。
「重要な経歴」とは、偽られた経歴について通常の使用者が正しい認識を有していたならば、当該労働者について労働契約を締結しなかったであろう経歴と考えられており(日本鋼管事件・東京高等裁判所昭和56年11月25日 判タ460号139頁)、一般的には、職歴、学歴、犯罪歴がこれにあたります。実際に、従前の裁判例においても、高校中退の学歴を高校卒業と詐称して採用された労働者に対する懲戒解雇を有効としたもの(正興産業事件・浦和地裁川越支部平成6年11月10日)、タクシー乗務員としての職歴を有していたにもかかわらず未経験者であると詐称して採用された労働者に対する懲戒解雇を有効としたもの(都島自動車商会事件・大阪地裁決定昭和62年2月13日)等、学歴や職歴を詐称した労働者に対する懲戒解雇を有効と判断したものがあります。
ご質問のケースは、貴社は、採用にあたって大学卒業を条件としており、当該社員が高校中退の学歴であることを認識していた場合には、労働契約の締結に至らなかったとのことですので、就業規則に基づいて懲戒解雇を行うことが可能です。
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