当社は、別の会社(派遣元)から労働者の派遣を受けています。当社から派遣労働者に対して時間外労働を命じる際に注意すべき点はありますか。
更新日:2020.05.15
ご質問:
当社は、別の会社(派遣元)から労働者の派遣を受けています。最近、従業員が不足しており業務が滞っているため、派遣労働者にも時間外労働をしてもらいたいと考えています。当社から派遣労働者に対して時間外労働を命じる際に注意すべき点はありますか。
回答:
派遣労働者は、労働契約は派遣元(派遣会社)と締結しておりますので、その労働契約に基づいて、派遣先企業の指揮命令に従って仕事をしています。
そのため、派遣労働者に残業を命じることができるか否かについても、派遣元労働者との労働契約によることとなります。すなわち、派遣元と派遣労働者との間で時間外労働に関する協定(36協定)が締結及び行政官庁への届出(労働者派遣法第44条第2項後段)がなされていなければ、派遣先は、派遣労働者に対して時間外労働を命じることはできません。
そして、派遣先は、労働者の労働時間を管理する責任を負い、労働基準法に反して時間外労働をさせた場合には処罰されます(労働者派遣法第44条第2項前段、労働基準法32条)。上記した派遣元・派遣労働者間の36協定が結ばれていないにもかかわらず、派遣労働者に対して時間外労働を命じた場合には、派遣先は、労働基準法32条に違反して処罰されることになります。加えて、36協定が締結されていたとしても、派遣労働者に命じることができる労働時間は、36協定で定められた範囲内に限られる点にも注意が必要です。
ご質問のケースでは、まず、別の会社(派遣元)に対して、派遣労働者との間で36協定を締結し行政官庁に届出をしているかどうかを確認すべきでしょう。その上で、当該協定で定められた労働時間を超えることがないように労働時間を管理しながら、時間外労働を命じるべきでしょう。
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