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時間外労働・変形労働時間制 等

仕事に熱心なために、長い時間働くのは何が問題なのでしょうか。

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更新日:2019.10.25

ご質問:

当社では、従業員が遅くまで仕事をして頑張ってくれています。皆、仕事に熱心なために、遅くまで仕事をしているのですが、最近の報道などでは長時間労働が問題だということを何度も目にしました。長い時間働くのは何が問題なのでしょうか。

回答:

 ブラック企業と言われてしまう典型は労働者が長時間労働を行っている企業です。長時間労働となってしまうのは、労働者が長時間労働を強いられる場合もあれば、労働者が自発的に長時間働いているような場合もあるでしょう。しかし、どのような事情にせよ、長時間労働には様々な問題がありますので、今一度、どのような問題があるかを確認してみましょう。

1.長時間労働の最大の問題-労働者の健康を損なうおそれ

 どれほどタフな人でも、長時間労働が続くと疲れがでて、身体や精神の不調を感じることになります。長時間労働が常態化すれば、重い病気にかかることすらあります。近年は、長時間労働によって精神の不調となり、うつ病を発症した事案等の裁判が増えています。

 長時間労働は、場合によっては、労働者のその後の人生を奪ったり、台無しにしてしまう可能性があります。企業は、そのような結果にならないように、労働者の健康や安全に配慮しなければなりません。

2.長時間労働のその他の問題

(1)仕事の効率低下

 労働者が重い病気にかからなくとも、長時間労働によって労働者は疲労し、仕事の効率を低下させることとなります。

 厚生労働省の調査によれば、20代~50代の男性にとって睡眠時間を確保するために必要なことのトップが就労時間の短縮となっています。つまり、仕事のために必要な睡眠時間が確保できないという実態になっています。そして、必要な睡眠時間を確保できないと、業務効率が低下したり、仕事のミスが増えるということを示す研究結果も存在します。

 また、職場で長時間労働が常態化していると、労働者の意識の面でも、業務効率を低下させます。定時退社が通常ですと「定時(例えば18時)までに終わせなければ」という意識を持つのに、長時間労働が常態化していると「21時までにやればいいや」という気持ちになってしまい、ゆったりとしたペースで仕事をしてしまうことになります。

(2)早出残業手当

 最近では、労働者が残業代の支払いを求めて労働基準監督署に相談したり、弁護士に依頼して裁判を起こすことが増えていることを皆さんもよくご存知でしょう。

 日本の労働法制では、労働者の賃金は、労働「時間」に基づいて算出されます。労働時間にかかわらず、完全な固定給とすることはできません。そして、所定労働時間を超えた早出残業手当については、通常の時給よりも高い割増賃金を支払うことが必要となっています。

 したがって、例えば労働者2人合計で月に200時間近くの残業をしているような場合には、もう1人増やして、その者に賃金を支払った方が労働コストを低く抑えることができます。

(3)損害賠償

 長時間労働により労働者が健康を損なった場合、労災の問題になることはご存知でしょう。今年話題になった大手広告代理店の若手女性社員が自殺した事案でも、労災認定がされています。

 労働者が労災から補償を受けるだけでなく、会社に対して、損害賠償請求をすることもあります。このような請求がなされた場合、内容にもよりますが、会社が数千万円の損害賠償責任を負うこともあります。

(4)企業名の公表等

 厚生労働省には、「長時間労働削減推進本部」という組織が設置されており、同本部は、平成28年12月、社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化の一つとして、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を厚生労働省及び都道府県労働局のホームページに一定期間掲載することを決定し、実際に、企業名入りで掲載・更新されています。さらに、違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業については、経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表を行うこととなっています。

 以上のような厚生労働省の公表だけでなく、インターネットが普及し、SNSの利用が日常的となった現代社会では、労働者自身が勤務先の実態を暴露することも珍しくありません。長時間労働が常態化していると、そのことをストレスに感じている労働者が、会社の悪口を書きこむかもしれません。

(5)従業員離れ

 近年は、多くの産業で労働力不足が顕著となっており、この状況は今後も続くことが予想されます。
 長時間労働が常態化している企業では、所属している労働者が健康を損なって辞めざるを得なかったり、より働きやすい職場を求めて辞めていく結果になるかもしれません。また、長時間労働が常態化しているという情報は、すぐに広まりますから、新しい者を雇うことも難しくなります。
 このような事態に陥ると、労働力不足により廃業しなければならないという結果すらあり得ます。

最後に

 経営者と労働者では、根本的な意識の持ち方も違います。経営者の中には、自身が四六時中仕事をしているし、それでも大丈夫だという自負のある方も少なくないでしょう。そして、そのような経営者が、労働者も自分と同じだと考えてしまうことがあります。しかし、経営者が、労働者に、自身と同じ意識を持つことを期待しても、それは現実的ではありません。殆どの労働者にとって、時間外労働は、「(仕事が楽しくて)やりたいからやる」ものではなく、「やらざるを得ないからやる」ものです。

 最初に述べたとおり、長時間労働が問題なのは、何よりも労働者の健康を害するおそれがあるからです。経営者が、労働者一人一人を大切と思っているのであれば、労働者の健康を損なうような働かせ方をすることはないはずです。そして、経営者が、労働者のことを、単なる労働力としか見ていないか、それとも、会社を支えている重要な人的資産と見ているか、経営者の姿勢を問われている問題と考える必要があります。

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