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コンプライアンスという言葉を耳にしますが、そもそもコンプライアンスとは何なのでしょうか?

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更新日:2019.10.25

ご質問:

コンプライアンスという言葉を耳にしますが、そもそもコンプライアンスとは何なのでしょうか。職場でのコンプライアンス違反を防ぐために、気をつける心掛けがあれば、教えて下さい。

回答:

 コンプライアンスという言葉の捉えられ方は、時代の流れに応じて変容してきています。最近では、法令遵守は勿論のこととして、もっと広く「社会の要請に応えること」と捉えられるようになっています。そのため、コンプライアンス違反を防ぐために、自社の商品やサービスや、職場内のルールや就労環境が、社会の要請にあっているかといった観点で、ご確認頂ければと思います。

1.コンプライアンスを正しく捉える必要性

 ニュースや新聞でも、連日のように、コンプライアンス違反に関する報道が繰り返されますので、コンプライアンスという言葉を知らない社会人は少ないと思います。また、コンプライアンス違反による企業不祥事が生じたときに、報道やワイドショーで取り上げられて、世の中でバッシングがされたりしますから、殆どの方が「コンプライアンス違反が生じないようにしなければならない」といった共通の認識は持っていると思います。
 ただ、コンプライアンスの語句の意味を正しく理解されているかという点については、疑問があります。というのは、日本でコンプライアンスという言葉が使われ始めたのは1990年頃と言われていますが、実は、それから30年近く経ち、その間少しずつ、コンプライアンスの捉えられ方も変わってきているからです。
 コンプライアンスの捉えられ方が変わってきているのに、それを正しく理解できていなければ、知らないうちにコンプライアンス違反を犯してしまったり、コンプライアンス違反が生じたときに対応や対策を講じようとしても、間違った対応や対策を講じてしまったりすることになってしまいます。そのため、まずはコンプライアンスを正しく捉えることが必要になります。

2.コンプライアンス=法令遵守?

 それでは、最近では、コンプライアンスは、どのような意味として捉えられているのでしょうか。企業や団体内のコンプライアンス研修会やコンプライアンス・セミナーで講師をさせて頂く際に、私からこのような質問をしたときに一番多い答えは、「コンプライアンスとは法令遵守である」といった答えです。実際に、同業の弁護士に聞いても、弁護士からも「コンプライアンスとは法令遵守である」という答えがかってくることもあります。
 しかしながら、実は「コンプライアンスとは法令遵守である」という考え方は、少し古い考え方です。そもそも、コンプライアンス(Compliance)という単語には、語源的にみても、LawやLegalといった法や法律といった意味を示す意味合いは含まれておりません。コンプライアンス(Compliance)という単語は、Comply(~に従う)という動詞の名詞形で、「~に従うこと」という意味です。何に従うかについては、明示されていないので、何かに従うことという意味です。このような誤解が生じてしまったのは、コンプライアンスという単語が、欧米で使われ始め、その後、日本で取り入れられる際に「企業が従う対象は法律に違いない」みたいな感じで紹介されてしまったため、「コンプライアンス=法令遵守」として定着してしまったと言われているのです。
 このあたりの話をすると長くなってしまいますので、ここでは、これ以上は割愛しますが、いずれにしても、最近では、「コンプライアンス=法令遵守」のように狭く捉えるのではなくて、「企業は社会的な存在なので、社会の要請に応えることができて初めて、存続が認められ、成長が許される。企業が法令を守ることは当たり前のことだし、企業は自分たちの決めた経営理念や社内のルールに従うのも当たり前のことなので、それ以上に社会の要請に応えていかなければならない。すなわち、コンプライアンス=社会の要請に応えることである」といった形で広く理解する、そんな捉え方が主流になってきているのです。


3.コンプライアンス違反を防止するために?

 このようにコンプライアンスの概念を広く正しく捉えることができれば、そもそも本稿の目的である「ブラック企業とは言わせない!」ために行うべき対策が見えてきます。それは「法律を守ろう」と考えて、都度、適法性をチェックするのではなく、自らの会社や組織が「社会の要請に応えられているか」という観点から、コンプライアンスに違反していないか否かをチェックして頂ければ良いのです。以下では、一例として、職場のコンプライアンスとして問題になりがちなテーマと考え方を紹介させて頂きます。

(1)長時間労働が習慣化している

  日本でも高度経済成長期やバブル期の社会では、「24時間働けますか?」といったコマーシャルも流行したりして、長時間労働が是認されていた時代もありましたが、今の社会は諸外国並みに労働時間を減らして、その分、創意工夫やテクノロジーを活用して生産性を向上することが、企業が進むべき方向性であると捉えられていますので、長時間労働の仕組みを維持したままでは、社会の要請に応えていくことはできません。

(2)適切な給料が支給されていない

  給料が低い原因の多くは、適切な残業代が支払われていないことです。従業員に働いてもらった分の対価を適切に支払っていないのは、そもそも法律違反です。当然のことながら、法律に違反してしまえば、社会の要請に応えていくことはできません。

(3)脱法的な雇用契約がされている

 適切な固定残業代制度を採用して運用していないにも関わらず「残業代は全て給料に含まれている」と説明していたり、管理監督者の実体がないにも関わらず名目だけの役職を与えて「君は管理職だから残業代はでないよ」と説明していたり、脱法的な雇用契約を締結しているような会社があります。このように法律の抜け道を探すような会社は、いずれ社会から強い非難を受けることになります。

(4)パワハラ・セクハラ等のハラスメント

 意識、無意識を問わず、業務指導という名目のもとで、職務の適正な範囲を超えた内容や方法で、パワハラやセクハラ等のハラスメントが行われている職場があります。職場での立場や役職の優劣を、人格と人間関係での優劣と勘違いしてしまってはいけません。そのような職場は、社会は認めてくれません。

(5)名目だけの経営理念を掲げている

  例えば「お客様、第一主義」とか「地域の利益を優先する」とか「利他の精神」等の経営理念を掲げている会社も多いと思いますが、そのような経営理念を掲げていながら、取引先や地域のことを蔑にして、自社の利益だけを追求しようとしているような会社があります。このような会社の商品やサービスを社会は認めてくれません。自分たちが決めたルールすら守れていないような会社を、社会が支持してくれることはありません。

(6)従業員の入れ替わりが激しい

 長時間労働を是正して、適切な給料を支給して、適法な雇用契約を締結する等の対策を講じたとしても、それでも、従業員の入れ替わりが激しく、一年中、採用活動を継続しているような会社があります。このような会社は、条件面以外のところで、コンプライアンス違反、すなわち社会の要請に応えられていない可能性がありますので、問題点や課題の洗い出しを行っていく必要があります。

(7)精神論が横行している

 適切な業務引き継ぎや業務指示や業務の説明を行うことを放棄して、「やればできる」「昔はこうだった」「仲間に対して損得勘定を持つな」「会社を成長させれば、将来みんなが豊かになる」等の精神論だけを横行させている職場があります。その全てが間違っているとまでは言いませんが、そこに合理的な根拠や理由や待遇面での対応が伴っていなければ、都合良く精神論を押しつけているだけで、社会は良い会社として認めてはくれません。

まとめ

 高度経済成長期やバブル期において、世間から注目を浴びるコンプライアンス違反による企業不祥事の主役は、大企業を中心としたものでした。しかしながら、2000年以降、政府による規制緩和やインターネットの普及定着によって、今では世間から注目を浴びるコンプライアンス違反による企業不祥事の主役は全ての企業になってしまいました。しかも、1つの企業不祥事が、インターネットを通じてあっと言う間に情報が拡散され、不祥事を起こした経営者や従業員個人の家族構成や住所までが特定され、その後もインターネット上に不祥事を起こした企業として不名誉な情報が残存してしまうような時代になっています。そのような意味では、コンプライアンスを意識した経営や事業運営は全ての企業にとっての生命線です。是非、この機会に改めて、自社の商品やサービス、自社内部の制度や運用が、社会の要請に応える内容になっているか否かを確認して頂き、社会の要請に応えることができていない点があれば、必要な対応や対策を講じて頂ければと思います。

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