業績の低迷を理由に、有期雇用で採用している契約社員の契約更新を行わないこと(雇止め)を検討しています。雇止めが認められない場合はありますか。
更新日:2020.05.15
ご質問:
当社では、業績の低迷を理由に、有期雇用で採用している契約社員の契約更新を行わないこと(雇止め)を検討しています。雇止めが認められない場合はありますか。
回答:
民法上の原則からすると、期間の定めのある労働契約の効力は、期間満了により終了します。
しかし、期間満了後に当該契約社員から更新や新たな有期労働契約締結の申し入れ(以下「契約の更新等」といいます)があり、以下の①又は②のいずれかに該当する場合で、契約の更新等を拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときには、使用者は契約の更新を拒絶できず、従前と同一の労働条件で契約の更新等があったものとみなされます(労働契約法第19条)。
①過去に反復して更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の場合における解雇と社会通念上同視できると認められるもの
②当該契約社員が、有期労働契約の契約期間満了時にその契約が更新されるものと期待することについて、合理的な理由があるものであると認められるもの
上記①、②のいずれに該当するか否かについて、過去の裁判例は、a.業務の客観的内容、b.契約上の地位の性格、c.当事者の主観的態様、d.更新の手続・実態、e.他の労働者の更新状況、f.その他(有期労働契約締結の経緯等)の6つの要素によって判断していると考えられています。
個別の事案について更新拒絶が認められるか否かという点や、雇止めでトラブルを生じないための準備の点については専門知識を要しますので、経験豊富な弁護士への相談をお勧めします。
当事務所の業務の中心は企業法務です。企業法務の中でも労務関連分野は、法律の制定や改正、経済の動向や社会情勢の変化の影響を受けやすいため、最新の事例を踏まえた柔軟な対応を求められます。
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