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有期雇用

当社では、多くの従業員を1年間の期間の定めのある労働契約によって雇用しています。まもなくAさんの2回目の契約更新の機会がありますが、今回の契約更新を最後にしたいと考えています。2回目の更新の際に、何か留意すべき点はありますか。

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更新日:2020.05.21

ご質問

当社では、人材の流動性を確保するため、多くの従業員を1年間の期間の定めのある労働契約によって雇用しています。Aさんも1年契約で雇用している従業員の一人で、これまで1回契約の更新をし、現在2年目の従業員として勤務しています。まもなくAさんの2回目の契約更新の機会がありますが、当社としては、今回の契約更新を最後にしたいと考えています。2回目の更新の際に、何か留意すべき点はありますか。

回答:

1 期間の定めのある労働契約の終了

 期間の定めのある労働契約は、使用者が期間満了後も従業員が就労を継続するのをあえて放置していたような場合を除き、期間の満了により終了します。そのため、使用者が従業員に対して期間満了後は契約更新しない旨(雇止め)を通知した場合には、労働契約は終了するのが原則となります。

2 例外的に労働契約の終了が制限される場合

 もっとも、労働者の地位の安定を図るために、一定の場合には雇止めを制限すべきとする判例法理(いわゆる「雇止め法理」)が確立され、平成25年の労働契約法改正の際にそれまでは判例法理であった雇止め法理が労働契約法第19条(※1)として法定されました。

 労働契約法第19条が適用されるか否か(雇止めが違法となるか否か)は、①業務の内容(臨時的・季節的なものではなく恒常的なものか)、②当事者の主観的態様(雇用継続について当事者間でどのような言動・認識があったか)、③更新手続きの態様(長期にわたる反復更新があったか、他の従業員に対する更新拒否の例があるか)などの諸事情を勘案して判断されます。そのため、紛争を予防し、仮に争いが生じた場合でも適法に雇止めできるよう、有期雇用契約の更新に際しては次の3で述べるような点に留意して下さい。

3 契約更新の際に会社が留意すべき点

 まず、契約更新の際、労働条件通知書にあらかじめ更新限度を定めたり、最後の更新の際に次回は更新しない旨の不更新条項を定めておくことが有効です。

 ご質問のケースでは、今回の更新を最後にしたいとのお考えですので、次回の不更新条項を書面上に明確に定めるべきです。

 また、書面に不更新条項等を定めるだけでなく、従業員に対して直接口頭でも内容を説明し、従業員がきちんと理解しているかを確認しながら手続きを進めるべきです。(※2)
 ご質問のケースでも、契約更新の際に、Aさんに対して今回の更新を最後にしたいことを明確に説明するとともに、Aさんが次回の不更新を理解しているかを確認すべきです。

 さらに、契約更新の後に、次回の更新を期待させるような言動はしないように注意すべきです。(※3)
 ご質問のケースでは、2回目の契約更新の際、上記のような次回の不更新条項を定めたとしても、その後に次回の契約更新を期待させるような言動をとってしまうと雇止めについて紛争が生じるおそれが高まるため、そのような言動をしないよう注意すべきです。

※1 

労働契約法第19条は、①有期労働契約が反復して更新されたことにより雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合(1号)や、②労働者が有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合(2号)には、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、使用者は、従前の労働契約と同一の労働条件(契約期間を含む)での労働契約の締結を拒むことができない(労働者による契約の更新又は締結の申込みを承諾したものとみなす)ことを規定しています。

※2

北海道大学(契約職員雇止め)事件・札幌高等裁判所平成26年2月20日判決 労判1099号78頁(1年契約を3年以上は更新しないという方針を労働者が認識した時点でそれを超えて雇用が継続されるという合理的期待を持っていたとはいえないとされた事例)

※3

カンタス航空事件・東京高等裁判所平成13年6月27日 労判810号21頁(5年という契約更新限度が定められているにもかかわらず、その後の更新を期待させるような言動等があったため新たに雇用が継続されるという合理的期待が生じたとされた事例)

有期雇用に関する労務等、いつでもお気軽にご相談ください。

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