パート・アルバイト等を雇用する場合でも明示しなければならない労働条件にはどのような事項がありますか。明示方法についての決まりはありますか。
更新日:2020.05.27
ご質問:
パート・アルバイト等を雇用する場合でも明示しなければならない労働条件にはどのような事項がありますか。明示方法についての決まりはありますか。
回答:
労働契約を締結するにあたっては、使用者は労働者に対し一定の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法第15条第1項)。パート・アルバイト等を雇用する場合であっても労働条件の明示は必要です。明示すべき労働条件は以下の事項となります(労働基準法施行規則第5条第1項)。
必ず明示しなければならない事項
① 労働契約の期間に関する事項
② 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(契約更新する場合があるものの締結の場合に限る)
③ 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
④ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交代に就業させる場合における就業時転換に関する事項
⑤ 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金締切り及び支払の時期、昇給に関する事項
⑥ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
⑦ 定めがある場合には、明示しなければならない事項退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項
⑧ 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与等、最低賃金に関する事項
⑨ 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
⑩ 安全及び衛生に関する事項
⑪ 職業訓練に関する事項
⑫ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑬ 表彰及び制裁に関する事項
⑭ 休職に関する事項
明示の方法としては、労働契約締結の際に労働者に対して口頭又は書面で明示しますが、①~⑥の必ず明示しなければならない事項のうち、昇給に関する事項以外は、書面の交付により明示しなければなりません。
例えば、残業があるか(④)、交通費は支給されるのか、給料日がいつか(⑤)といった事項については、必ず書面で明示しなければなりません。
このような労働条件は、労働者にとっても関心が高い事項ですので後日の紛争を避けるためにも書面で明示する必要があります。労働条件を明示するにあたっては、その労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約締結の際に交付することとしても差し支えありません。
通達
・平成11.1.29 基発45号
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