障害者雇用促進法という法律について教えてください。
更新日:2021.06.19
ご質問:
当社は、設立から5年の若い会社ですが、従業員の人数は30人を超えています。今後は、北海道内各地に支店を設け、事業を拡大していく予定です。
ところで、知人から、障害者雇用促進法という法律があり、障害者を雇用しなければならないという決まりがあるということを聞きました。
しかし、当社は、障害者を雇用したことがありませんし、何人障害者を雇用しなければならないのかもわかりません。どうしたらよいのか、教えてもらえますか。
回答:
現時点では、障害者を雇用したり、何か対応したりする必要はありません。ただし、常用労働者(週の労働時間が20時間以上の労働者)の人数が43.5人になると、原則として障害者を1人以上雇用しなければなりません。
障害者雇用促進法等では、常用労働者の人数が43.5人以上になると、障害者雇用率(2021年6月時点で2.3%)を超える障害者を雇用しなければならないとされています。例えば、43.5人以上だと1人、87人以上だと2人、131.5人以上だと3人となります。なお、0.5人という端数が生じているのは、一定の場合(週の労働時間が20時間以上30時間未満の労働者)には、1人の労働者を計算上は0.5人として数えることとされているためです(※1)。
常用労働者43.5人ごとに障害者1人という割合は、少なくとも5年に1度は見直すことになっており、実際にはこれより短い間隔で見直しがされているので、定期的に確認する必要があります。ただし、一定の業種については、業種の性質上、障害者を雇用することが難しいものもあるため、除外率制度という仕組みがあり、例外的に基準が緩和される場合がありますので、併せて確認する必要があります(※2)。
また、常用労働者の人数が43.5人以上になると、障害者雇用状況報告書をハローワークに提出する義務が発生し、これを提出しないと刑事罰が科されることがあります。
さらに、常用労働者が100人以上になると、障害者雇用促進法の規定を満たさない場合に、障害者雇用納付金申告書をハローワークに提出するとともに、障害者雇用納付金を支払う義務が発生し、これらの対応をしないと刑事罰が科されることがあります。他方で、規定を満たした場合には、障害者雇用調整金を受け取ることができます。
したがいまして、労働者の人数が増えた場合には、専門家に相談をして、障害者雇用促進法を踏まえ適切な対応をとるよう心掛けて下さい。
※1 障害者雇用率制度について
※2 除外率制度について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/4-1-2_5.pdf
改正障害者雇用促進法についてに関する労務等、いつでもお気軽にご相談ください。
1988年生 / 札幌弁護士会所属(68期)
2015年12月 アンビシャス総合法律事務所 入所
重点取扱分野:労働法務 / 渉外法務 / 医療法務
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