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労働契約内容の明示と具体化

募集時と異なる労働条件で採用することは可能でしょうか。

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更新日:2018.11.09

ご質問:

当社は、毎年、職業安定所に求人票を出して採用活動をしており、求人票には賃金等の労働条件を明示しています。求人票での募集時と異なる労働条件で採用することは可能でしょうか。
例えば、今年は求人票を出した直後に業績が悪化したため、採用することになった方との間では、求人票よりも低い賃金で契約したいと思っているのですが、求人票よりも低い賃金で契約しても良いのでしょうか。

回答:

 職業安定法第5条の3は「労働者の募集を行う者は、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めており、労働者の募集を行う者は、賃金等の労働条件を明示して募集を行わなければなりません。

 この規定は、労働者の募集時における労働条件の明示を定めたものですが、職業安定法に基づく指針(※)により、当初の明示内容と異なる労働条件を提示することになった場合には、その旨を明示しなければならないとされています。また、労働基準法第15条は「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。

 このように、募集時と採用時(労働契約締結時)のいずれの時点でも労働条件を示すことが要求されています。

 そして、募集時と採用時の労働条件が異なる場合、採用時に労働契約を締結することになりますので、採用時の労働条件が契約の内容となります。
 したがって、採用時に会社が募集時とは異なる労働条件を労働者に提示し、労働者がこれに応じて労働契約を締結した場合には、採用時の労働条件が労働契約の内容となりますので、募集時と異なる労働条件で採用することが可能です。

 もっとも、募集時よりも労働者に不利な条件で採用する場合(ご相談の例のように、会社が職業安定所に出した求人票よりも、低い賃金で採用することになった方との労働契約を締結する場合など)には、きちんと変更後の賃金を明示し、単に書面上で労働条件が異なっているだけでなく、口頭でも条件が異なっていることを説明した上で、労働契約を締結することが必要となります。

※職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等 提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等が 均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示、労働者の募集を行う者等の責務、労働者供給事業者の責務等に関して適切に対処するための指針

関連条文

労働基準法 第15条(労働条件の明示)
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

労働契約内容の明示と具体化に関する労務等、いつでもお気軽にご相談ください。

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