新型コロナウイルス感染症の影響により業務の繁閑の差が大きくなっています。例えば、比較的業務量の少ない日の労働時間を短縮して、忙しい日の労働時間を長くすることは可能でしょうか。
更新日:2020.05.14
ご質問:
新型コロナウイルス感染症の影響により業務の繁閑の差が大きくなっています。例えば、比較的業務量の少ない日の労働時間を短縮して、忙しい日の労働時間を長くすることは可能でしょうか。
回答:
原則として1日の労働時間は8時間、1週間の労働時間は40時間が上限となります(労働基準法32条)。これを超えて労働させる場合には、変形労働時間制を採用するか、時間外労働として割増賃金を支払うかといった対応が必要となります。仮に、通常の労働時間が8時間である事業場において、業務量の少ない日の労働時間を2時間短縮して6時間とし、忙しい日の労働時間を10時間とした場合には、変形労働時間制を採用していない場合には忙しい日の労働時間の8時間を超える部分の2時間分については時間外労働となりますので割増賃金を支払う必要があります。
変形労働時間制には、1カ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制があります。これら変形労働時間制は、閑散期の労働時間を短くするかわりに繁忙期の労働時間を長くすることができる制度です。
1カ月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制の場合には、事前に各日・各週の労働時間を定めなければなりません。事前に業務量の見込みがつく場合には採用することができます。
1週間単位の非定型的変形労働時間制は、より弾力的な運用ができますが対象業種が小売業、旅館、料理店及び飲食店の事業であって、常時使用する労働者の数が30人未満とされています。
フレックスタイム制は、始業就業の時刻を労働者の選択にゆだねる制度です。変形労働時間制を採用するにあたっては、就業規則等での規定や労使協定の締結などが必要となります。
法定労働時間である1日8時間、1週間40時間を超える労働時間の場合には、時間外労働となり割増賃金を支払う必要があります。時間外労働をするにあたっては、原則として時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届出する必要があります。
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