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退職勧奨・退職強要

一部の従業員に対して退職勧奨をしようと考えています。その際、どの程度の説得であれば退職勧奨として許されるのでしょうか。

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更新日:2020.05.27

ご質問

当社は、ここ数年業績が悪いため、人員削減をする必要があると考えています。もっとも、割増退職金を支給するなどして希望退職者を募集する余裕はないため、一部の従業員に対して退職勧奨をしようと考えています。その際、どの程度の説得であれば退職勧奨として許されるのでしょうか。

回答:

 退職勧奨とは、使用者が労働者に対して自発的に退職意思を形成させるための説得等の行為のことを言います。退職勧奨を受けた労働者は、何らそれに拘束されることはなく自由に勧奨を拒否できる反面、会社としても自由に退職勧奨をすることができ、勧奨をすること自体は違法ではありません。

 もっとも、退職勧奨は、あくまで労働者に対して任意の退職を促すものであることから、労働者が自由な意思決定を妨げられる態様の退職勧奨は許されません。すなわち、退職勧奨として行われた説得の回数や手段、方法は社会通念上相当であることが求められ、その態様が強制的であったり執拗なものである場合には、不法行為(民法第709条、710条)となり、使用者は損害賠償責任を負うことになります。

 具体的にどのような場合に退職勧奨が社会通念上相当であり許されるのかは、様々な事情を総合的に判断せざるを得ず、ケースバイケースで判断されることになります。退職勧奨が違法であると判断した裁判例の中には、労働者に対する説得や面談の頻度、一回の長さ、具体的な言動、使用者側の人数などの事情を考慮したものや(※1)、退職勧奨を拒絶した労働者に対する暴行や仕事上の差別を行ったことを考慮したもの(※2)などがあります。したがって、ご質問のケースでも、従業員に対して退職勧奨を行う際には、上記の裁判例が考慮したような事情に特に注意をしながら、社会通念上相当な範囲で行わなければなりません。

※1

大阪地方裁判所平成11年10月18日判決・労判772号9頁・全日本空輸事件(休職していた労働者の復職に際し、上司5名が、約4か月間にわたり、復職についての面談等を30回以上を行い、その中には一回8時間にもわたるものもあり、面談中には「寄生虫」「他の乗務員の迷惑」などと述べた事案において、社会通念上相当な範囲を超えて不法行為にあたると判断したもの)

※2

東京高等裁判所平成8年3月27日・労判706号69頁・エールフランス事件(希望退職期間経過後に、労働者に対して暴力や仕事上の差別などの嫌がらせをした事案において、社会通念上相当な範囲を超えて不法行為にあたると判断したもの)

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