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退職・解雇・退職金

新型コロナウイルス感染症の影響で経営状況が悪化し、やむを得ず廃業することを決断しました。廃業にあたって従業員全員を解雇する予定ですが、問題はありますか。

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更新日:2020.04.24

ご質問:

新型コロナウイルス感染症の影響で経営状況が悪化し、事業を継続することが難しくなったため、やむを得ず廃業することを決断しました。廃業にあたって従業員全員を解雇する予定ですが、問題はありますか。

回答:

 経営不振による廃業を原因とする解雇であっても、従業員への対応が適切でない場合には、損害賠償義務や賃金支払義務を負うことがあります。

 経営不振による廃業を原因とする解雇は、講学上「整理解雇」と呼ばれる類型の一種であると考えられています。一般的な整理解雇の適法性は、下記の4つの要素を考慮して判断されます(※1)。

 

①人員整理の必要性=人員整理を行う経営上の必要性があるか

②解雇回避努力の有無=解雇を回避するための努力を行ったか(役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等)

③被解雇者選定の合理性=解雇対象者の選定が合理的であるか(基準の合理性や選定の内容の合理性)

④解雇手続の相当性=労働者や労働組合との間で説明や協議の機会を設けたりしたか



 経営不振による廃業を原因とする解雇の場合、①と④の2つの要素を考慮して判断されると考えられていますが、要素①は基本的には認められるため、④が問題になることが多いです(※2、※3、※4)。もしやむを得ず整理解雇を行う場合であっても、解雇手続が相当でないと判断されれば、解雇が違法・無効であると判断され、その結果、損害賠償義務や賃金支払義務を負うこともあります。

 したがって、廃業を原因とする解雇を行う場合であっても、解雇に先立って従業員や労働組合に対して解雇を行うに至った経緯や理由を説明し、従業員や労働組合と協議を行う機会を設けるようにして下さい。

※1 東京高裁昭和54年10月29日判決労判330号71頁

※2 大阪地裁平成10年9月9日決定労判747号50頁

※3 仙台地裁平成17年12月15日決定労判915号152頁

※4 奈良地裁平成26年7月17日判決労判1102号18頁

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