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労働災害・安全配慮義務

私の地域では新型コロナウイルスの患者数は少ないですし、従業員はみな若いですし、特に何らかの対策を会社として取るつもりはありません。何か問題あるでしょうか。

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更新日:2020.04.15

ご質問

私の地域では新型コロナウイルスの患者数は少ないですし、そもそも、それほど大変な病気だとも思えません。インフルエンザの方がよほど問題だと思っています。従業員はみな若いですし、特に何らかの対策を会社として取るつもりはありません。何か問題あるでしょうか。

回答

1 安全配慮義務違反による損害賠償請求

 使用者は、労働者が生命・身体などの安全を確保しつつ労働ができるよう配慮する義務(安全配慮義務)があります(労働契約法第5条)。使用者が安全配慮義務を怠ったことにより、従業員が新型コロナウイルスに罹患した場合には損害賠償責任が問われるケースも考えられるところです。

 本件事例において、当該地域では患者数が少ないかもしれませんが、従業員が新型コロナウイルスに罹患する可能性は排斥できませんし、今後被害地域も拡大していくかもしれません。また、新型コロナウイルスは、高齢者だけでなく、20代~30代の若い世代も数多くに罹患が確認されていますので、若いから安全ということもありません。

 そのため、会社としては、従業員は新型コロナウイルスに罹患しないように、手洗い・うがいの励行、執務スペースの換気、懇親会等の自粛、テレワークや時差出勤の検討・採用など、従業員の健康を保持するためにできる限りの職場環境の構築が図る必要があると考えられます。特に従業員から時差出勤やマスク着用の要望等があるのにもかかわらず、会社が拒否したり、何も対応しないなどした場合は、安全配慮義務に違反すると判断される可能性が高くなります。

 以上のことから、会社が新型コロナウイルスから従業員の安全を守るために、何らの対策をとらない場合は、安全配慮義務に違反したとして責任追及されるリスクがあることから、できる限りの衛生管理等の感染予防対策を講ずることが望ましいと考えます。


2  社会的信用の喪失~会社存続の危機~

 万が一、会社の従業員が新型コロナウイルスに罹患し、それが世間に広まった場合、取引先からは、自社の従業員の安全を確保するためや、取引先自身も安全面・衛生面で社会的信用を失ってしまうなどと考え、今後の取引を中断・破棄されてしまうかもしれません。

 また、会社内部でクラスターが発生するなどに至った場合は、罹患した従業員だけでなく、他の従業員も濃厚接触者として勤務できなくなる可能性があり、その場合、人手不足や業務停止命令などにより、業務遂行が不可能となることも想定されます。そうなってしまうと、取引先だけでなく、その他周囲からの信用も失い、延いては会社の存亡自体に関わる可能性もあります。

 新型コロナウイルスによる事業への影響は、決して軽微なもので済まされない可能性が十分に想定されますので、従業員だけでなく会社を守るためにも、できる限りの感染予防措置を取るべきと考えます。

労働災害・安全配慮義務に関する労務等、いつでもお気軽にご相談ください。

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