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1年単位の変形労働時間制を採用しています。割増賃金の対象となる時間外労働はどのように算定したらよいのでしょうか。

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更新日:2022.03.17

ご質問

当社では、季節的に業務の繁閑に差があることから、1年単位の変形労働時間制を採用しています。このように1年単位の変形労働時間制が採用されている場合の割増賃金の対象となる時間外労働はどのように算定したらよいのでしょうか。



回答:

 1年単位の変形労働時間制とは、1箇月を超え1年以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じ労働時間を分配することを認める制度です(労働基準法32条の4)。

 一定の条件を満たせば、1日8時間、1週間40時間の法定労働時間(同法32条)を超えて労働させても時間外労働とはならず、割増賃金を支払う必要はありません。しかし、その範囲を超える時間は、時間外労働になるため割増賃金を支払う必要があります。

 まず、1年単位の変形労働時間制の対象期間より短い労働者については、その労働者の労働させた期間(実労働期間)を平均して1週間当たり40時間を超えて労働させた場合には、その超えた時間(同法33条及び36条1項により延長し、休日に労働させた時間を除く)については、時間外労働として割増賃金を支払う必要があります(同法32条の4の2)。

 例えば、変形労働制の期間の途中に採用された労働者や退職・休職などをした労働者等は、実労働時間が対象労働時間より短いですので、原則として実労働期間を平均して1週間40時間を超えて労働させた時間については時間外労働として割増賃金を支払わなければなりません(次に述べる同法37条により時間外労働となる部分を除く)。

 次に、労働基準法37条に基づく時間外労働の対象となる時間は以下のようになります。

①1日については、1年単位の変形労働時間制についての労使協定で所定労働時間について8時間を超える時間を定めた場合にはその時間を、それ以外の日については8時間を超えた時間。

②1週間については、労使協定で所定労働時間について40時間を超える時間を定めた週はその超えた時間を、それ以外の週は40時間を超えた時間(①で時間外労働となる時間を除く)。

③変形期間全体について、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間(①、②で時間外労働となる時間を除く)。

 ①の例としては、労使協定においてある日の所定労働時間9時間と定めていて10時間働いた場合には、9時間を超えた1時間が時間外労働となります。また別な日について所定労働時間を7時間と定めていた場合に10時間働いた場合には、8時間を超えた2時間分が時間外労働となります。

 ②の例は、労使協定である週の労働時間を46時間と定めていて、50時間労働した場合には、46時間を超えた4時間が時間外労働となります。また、別な週について35時間を所定労働時間として定めて、42時間働いた場合には40時間を超えた2時間が時間外労働となります。この場合時間外労働となる2時間が①の一日の労働時間の算定にあたって時間外労働となっている場合には、重複となりますので①でのみ時間外労働として計算することとなります。

 ③の例としては、対象期間が52週の場合には法定労働時間の総枠は2,080時間となりますが、対象期間に2,100時間の労働時間となった場合には、20時間が時間外労働となります。ただし、この場合にも、①の一日の時間外労働、②の1週間の時間外労働とされた時間については、重複となりますので①又は②において時間外労働として計算することとなります。


 以上のように、1年単位の変形労働時間制については、導入について一定の要件があり、割増賃金についても特別な計算方法をとるなど複雑な条件が加わりますので、そのことを念頭に置いたうえで導入をご検討ください。

 

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