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労働審判

パワハラで解雇した営業部長の弁護士から、不当解雇の損害賠償請求を受け、拒絶したところ、労働審判手続きの申立てをされました。訴訟になった段階で弁護士に相談し、対応を依頼しようと思っていますが、このような対応で良いでしょうか。

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更新日:2021.07.29

ご質問

当社では、半年ほど前に、当時の営業部長が部下にパワハラをしていたことが発覚したため、最終的に当時の営業部長を解雇しました。

そうしたところ、当時の営業部長の弁護士から、不当解雇を理由として損害賠償請求を受けましたが、これを拒絶したため、労働審判手続の申立てをされました。

労働審判手続について調べたところ、金銭を支払うことで解決になることが多いことや、不服がある場合には訴訟ができることがわかりました。

当社は、損害賠償請求に応じる考えはないので、費用のことも考えて、訴訟になった段階で弁護士に相談し、対応を依頼しようと思ったのですが、このような対応で良かったでしょうか。


回答:

 労働審判手続での解決を希望しない場合であっても、速やかに弁護士に相談してください。そして、弁護士の意見も踏まえて、労働審判手続の中での解決を目指すのか、訴訟の中での解決を目指すのかを決めるようにしてください。


1.労働審判手続で解決するメリット

  労働審判手続は、原則として3回以内の期日で審理を終結するため、訴訟と比べると早期に解決できます。

また、労働者が早期解決を強く望んでいる場合には、事実関係や証拠の有無の点で使用者に不利な場合であっても、金銭的な譲歩を引き出すことができる場合があります。

さらに、早期解決の結果、訴訟と比べると解決金や弁護士費用といった解決に要する負担を軽減できる場合もあります。



2.労働審判手続で解決するデメリット

 他方で、労働審判手続は、使用者と労働者の話し合いをベースとした手続であるため、使用者や労働者の言い分が全面的に認められることは少ないです。

また、原則として3回以内の期日で審理を終結するため、詳細な事実の調査をすることが難しく、横領のような犯罪行為やパワハラのような不正行為が関係するような事案では、事実関係を解明することができないことが多いです。

さらに、労働者に対する損害賠償請求を検討しているような場合は、労働審判手続の中で行うことはできません。

したがって、訴訟になれば労働者の請求が認められない可能性がある場合、事実関係を解明する必要がある場合、労働者に対する損害賠償請求をする場合には、労働審判手続の中では解決せず、訴訟の中で解決するという判断もあり得ます。


3.裁判で解決するメリット

 基本的には「2. 労働審判手続で解決することのデメリット」で指摘したデメリットを解消することができます。


4.裁判で解決するデメリット

  反対に「1. 労働審判手続で解決することのメリット」で指摘したメリットが失われます。

特に、裁判の場合は、労働審判手続と比べて解決までに要する時間が長くなるため、会社の担当が対応に追われる時間も相当になりますし、追加の弁護士費用も必要になることが一般的です。


5.労働審判手続で解決するか否かの判断基準

 労働審判手続には、訴訟と比較して、以上のようなメリットとデメリットがあります。最終的には、事実関係や証拠の有無、労働審判手続の経過も含めて、労働審判手続のメリットとデメリットを比較しながら、労働審判手続の中での解決を目指すのか、訴訟の中での解決を目指すのかを決めることになります。しかし、労働審判手続での解決を検討しないまま機会を失うのは望ましくはないので、まずは弁護士に相談して、方針を決めるようにしてください。

労働審判に関する労務等、いつでもお気軽にご相談ください。

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