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時間外労働等の割増賃金:残業代請求の実務

働き方改革の中で、時間外労働について規制がなされたと聞きました。どのような規制がなされているのでしょうか。

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更新日:2022.02.07

ご質問

働き方改革の中で、時間外労働について規制がなされたと聞きました。どのような規制がなされているのでしょうか。



回答:

 これまでは、適法に時間外労働・休日労働に関する労使協定(労働基準法36条で規定されていることから「36協定」と言われています)を締結し、労働基準監督署に届けをすることにより事実上は上限なく時間外労働ができる状況でした。法改正前までは、厚生労働大臣による告示で、月45時間、年間360時間が一応の目安とされておりました。だた、臨時やむを得ない事情があれば、36協定の特別条項を定めれば事実上は上限なく時間外労働が可能な状況にありました。

 これが、平成31年4月1日以降の期間のみを定めている時間外・休日労働に関する協定については、時間外労働に対する規制が加わることになりました(ただし、中小企業の場合は、これが令和2年4月1日以降の期間のみを定めた協定からの適用となります)。

 原則として、時間外労働は月45時間、年間360時間が上限となりました。また、臨時的やむを得ない事情がある場合でも年間6カ月を上限に、

①1カ月についての労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の合計は、100時間未満であること、

②対象期間(三六協定により時間外・休日労働をさせることのできる期間のことをいいます)の初日から1カ月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の1カ月、2カ月、3カ月、4カ月及び5カ月の期間を加えたそれぞれの期間(2カ月から6カ月)における時間外労働時間及び休日労働時間の1カ月当たりの平均時間は、80時間を超えないこと

(②の要件は一般に、複数月平均1カ月80時間の規制、といった表現がされます)、かつ年間720時間以内との規制がなされています。

 このほか、三六協定では①休日労働をさせることができることとされる労働者の範囲、②1年以内の対象期間、③休日労働をさせることのできる場合、④労働させることができる休日の日数(さらには、時間外労働の場合と共通の有効期間の定めなど)など、休日労働を可能とするために必要な事項を定めなければならないことに変わりはありません。

 

 これは、今回の法改正が働き方改革の一環としてのものであり、時間外労働・休日労働の規制も、長時間・過重労働の防止を意図したものであることと関係するものといえます。使用者の責務としていわゆる過重労働について留意するとともに、週40時間を超える時間が1カ月45時間を超えて長くなるほど業務と脳・心疾患の発症との関連性が強まるとされていることを意識する必要があります。

 今回の法改正においても、特別条項で延長できる時間について時間外労働か休日労働かを区別せず、週40時間を超える労働時間の長さを問題にするものであり、改正法の36条6項でも、実労働時間に関する絶対的な規制として、労働者災害補償保険における過労死認定基準を踏まえて時間外・休日労働の時間の合計は月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内でなければならないとし、これを三六協定に取り込むことが求められた、ということです。

 使用者としては、法改正をふまえ労働時間を適正に管理するとともに時間外労働の削減に取り組む必要があると思われます。

〔参照条文 労基法36条、附則(平30法71)1条~3条〕

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